学校法人 聖愛幼稚園
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書き下ろし連載55
嵐をしずめる
マルコ福音書4章35〜41節

細井保路
                

   イエスさまはガリラヤ湖の周辺で活動を始めますが、その頃よく湖を小舟で渡ったようです。水の上では、時々突風が起こることがあって、普通はそういう時は船を出さないのでしょうが、ある時、弟子たちと一緒に船に乗っていると、嵐になってしまいます。弟子たちは、大慌てしますが、イエスさまは眠りこけています。やがて起き上がると嵐に「静まれ」と言われ、凪になったというのです。弟子たちは、この体験から、イエスさまがいて下されば大丈夫だという思いを強くしたのです。

   私は、車で遠出をすることが多いので、よくガソリンがなくなりそうになって焦ります。そして、お金があれば大丈夫、ガソリンスタンドがあれば大丈夫、最悪携帯電話でレッカー車を呼べば大丈夫などと思っています。もちろん、小まめにガソリンを補充して準備を怠らないことが一番よいのですが。日常生活の中で、用意周到にしていても、突然トラブルが起きることを完全に防ぐことはできません。とりあえず当てにしている物がなかったときでも、あるいは、もう打つ手がなくなってしまったと思えるときこそ、私たちを生かしてくださっている大きな力にもっと信頼してもよいのだと思います。大病をした人が、その体験を通して何か大切な価値をつかんだという話をよく聞きます。

   日頃私たちは、人の善意に寄りかかり、便利さにどっぷりとつかって、「大切なもの」などという大げさなことを考えないで過ごしてしまいがちです。でも、それが見えなくなっていると、何か問題が起きたときにパニックになってしまいます。 弟子たちは、イエスさまと過ごした経験から、その後の人生でも、人生という小舟の中に、いつも信頼できる存在に一緒に乗っていてもらうという感覚を持ち続けたのだろうと思います。

   私たちは自分の人生の小舟に、確かな価値のあるものを積み込んでいるでしょうか。大切な家族はもちろんのこと、「大切なこと」について考えてみましょう。


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