学校法人 聖愛幼稚園
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書き下ろし連載53
幸せに気づこう
ヨハネ福音書15章9〜12節

細井保路

   「互いに愛し合いなさい。これがわたしの掟である。」というのが、ヨハネの福音書のメッセージの頂点であると言ってもよいと思います。しかし、「掟」という言葉が使われているために、人を愛すること、守ること、大切にすることが、何か、使命か義務のように感じられるとしたら、残念なことです。

   イエスさまは、この言葉の直前に、「わたしの喜びがあなたがたの内にあり、あなたがたの喜びが満たされるためである。」と言っています。愛することは、自分自身の深い喜びなのであって、決して努力目標などではないのです。人を大切にすることで幸せを感じることができないなら、何に幸せを求めることができるのでしょうか。

   人を愛することは、その相手のために、何かを与え、手放し、失うことでもあります。そして、失っても実はもっと豊かになっていると感じることです。そう言うと、なにか、とても大げさなことのように思えますが、日常の中でわたしたちが体験していることなのです。

   家族のために、おいしい御馳走を用意したとしましょう。しかし、何か事情があって、みんなでそれを楽しく食べることができなくなることがあります。そういう時に、私たちはつい、その事態を恨んだり、無駄になった準備や料理をもったいないと思ったり、誰かに八つ当たりしたくなったりするものです。そして、食事を用意してあげる愛する家族がいることや、用意をしている時の幸せな気分を一瞬にして忘れてしまうのです。

   何かを失ったと感じるとき、何かが無駄になったと感じるとき、それは、そんな程度のことでは変わらない幸せがあることを思い出す大切なチャンスなのかもしれません。

   3月のこの締めくくりの時期に、わが子と自分の一年を振り返ってみましょう。何か一つでも、見落としていた幸せに気づくと、次から次へと、たくさんの幸せを見つけることができるはずです。


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