学校法人 聖愛幼稚園
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書き下ろし連載47
自然にあふれ出るもの
ヨハネ福音書7章38節

細井保路

   「渇いている人は私のところに来て飲みなさい。私を信じる者は聖書に書いてある通り、その人の内から生きた水が川となって流れ出るであろう。」

   「聖書に書いてある通り」というのは、おそらく、旧約聖書のイザヤ書58章のことだろうと思われます。そこにはこう書かれています。「お前達は、断食しながら争っている。神が望む断食とは、虐げられた人を解放し、飢えた人にパンを与えることではないか?同胞を助けなさい。そうすればあなたの傷がいやされる。飢えている人に心を配りなさい。そうすればあなたは水の涸れない泉となる。」

   人を助けることで、自分が癒される。人と分けあうことで、私たちは本来の自分を取り戻せる、というのです。その本来の姿を、聖書は、神から与えられた泉があふれ出るイメージで表現しているのです。同じ58章には、もうひとつの美しいイメージが描かれています。朝日のように射し出でる光のイメージです。本来人に与えられている輝きは、助け合うときに、人のことを思いやるときに現われて来るというのです。

   イエスさまが「あなた方は世の光である」(マタイ5・14)とおっしゃるときにも、きっと、イザヤ書のイメージが念頭にあったのではないかと思います。自分が多少の犠牲をしながらでも人の喜びや慰めになることができたとき、私たちはお互いに、本来神さまから与えられている力を発揮することになるのです。そして大事なことは、「渇いている人はまず私のところに来て飲みなさい。」と言われていることです。私が人の渇きを癒せるわけではなく、私も他の人と同じように神さまが下さる力によって生きていることを認めたとき、その私を通して、人を助けることができるのです。人を助けながらそのことに気づいていくことが一番自然なことです。

   子育てはまさに、自分のことよりわが子のことを優先しながら、実は私も癒され、子どもも満たされるという体験であるはずです。


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