学校法人 聖愛幼稚園
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書き下ろし連載42
心の中にある泉
ヨハネ福音書4章1−15節

細井保路
                

   イエスさまは、ひとりの女性にこんな不思議なことをおっしゃいました。 「私が与える水はその人の内で泉となり、永遠の命に至る水がわき出る。」

   誰もが、こんこんと湧き出る泉のような、人の渇きを癒す力を持っているというのです。 人を助けることのできる豊かな愛情を神さまから与えられているのです。 本当は、誰もがそんな素晴らしさを内に秘めているのに、自分でも気づかないのです。 誰かが「助けて下さい」と声をかけなければ、自分の中の豊かなエネルギーに気づくことはできないのです。

   残念ながら、私たちは、お互いに「ちょっと助けて」と素直に人に頼れないのです。 神さまから貰った優しさをみんなが持っているということを信じられないからです。 なぜなら、私自身が、その自分に与えられた優しさを無駄にしてしまっているからです。

   人にちょっと親切にしてあげると、とたんに自己満足に陥ったり、相手を見下したりする自分がいます。 人を助けてあげると、助けようとしない人を批判したくなる自分がいます。 人に優しくしたときに、自分の心に内に、汲めども尽きぬ愛の泉が与えられていることに気づけばいいのに、そして、それだけでいいのに、余計な感情が生まれてくるのです。

   イエスさまは、先にあげた言葉をおっしゃる前に、実は、その女性に、「水を一杯飲ませてください」と声をかけているのです。 その言葉は、相手の心の泉を開くためのいわば呼び水だったのです。

   私たちは、お互いに、自分の心がもともと愛に満ち溢れていることに気づかないばかりか、お互いに、相手の心の泉に石を投げ込んで、それを塞ぐようなことさえしているのです。

   わが子に対しても、「ちょっと助けて」「ちょっと手伝って」と、どんどん声をかけましょう。 子どもたちは、その言葉で自分の心にすでに用意されている優しさに気づくことができるはずです。


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