学校法人 聖愛幼稚園
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書き下ろし連載40
天に宝を積む
ルカ福音書12章33−34節

細井保路
                

   「自分の持ち物を売り払って施しなさい。擦り切れることのない財布を作り、尽きることのない富を天に積みなさい。 そこは、盗人も近寄らず、虫も食い荒らさない。あなたがたの富のあるところに、あなたがたの心もあるのだ。」

   このイエスさまの言葉は、徹底した施しのすすめのように聞こえます。そして、わたしたちは、そんな極端なことはできるはずがないと思ってしまうのです。 でも、この言葉は、うしろから読んでみると、だいじなことに気づくのです。「あなたの富のあるところにあなたの心もある」と言われれば、なるほどそうだと納得できます。そして、問題は、わたしたちが何を宝としているか、何を大切にして生きているか、と問われていることに気づきます。

   本当は優しさや、愛情や、わが子が無事でいることや、穏やかな気持ちを優先したいのに、言うことを聞かない子どもに苛立ったり、相手に自分の理想を押しつけたり、仕事の忙しさで気持ちがささくれだっていたりして、気がつくと、必死で自分のプライドを守ることだけが自分の「宝」になってしまっていたりするのです。

   イエスさまは、そういうがんじがらめの自分から抜け出すために、「神さまが一緒にいてくださるから大丈夫だ」と思ってごらんとおっしゃりたいのです。でも、思いどおりにいかない現実に苛立っている人は、そんな気持ちには簡単になれないのです。だから、「富は天に積みなさい」と言われます。

   まず、天に、神さまのほうに、目を上げてみなさい。人はみな、神の祝福のうちに生きていることを思い出しなさい。そしてもう一度、目を現実に戻して、神さまが共にいてくださることを思いながら歩みなさい。それが難しければ、思い切って自分がこだわっているものをちょっと手放してごらんなさい。たとえば、今よりちょっとだけ人に優しくすることが、幸せへの入口なのだと言われているのです。


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