学校法人 聖愛幼稚園
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書き下ろし連載15
星に導かれて
マタイ福音書2章1〜12節

細井保路
                

   イエスさまが生まれた後、星に導かれて東の国から3人の博士 (現在の聖書では「占星術の学者」と訳されています)が、 イエスさまを拝みやって来たと聖書に書かれています。 贈り物が3つなので、いつの間にか、博士たちは3人ということになり、 伝説の中で名前までつけられていきました。クリスマスの子どもたちの 劇では、羊飼いと一緒にイエスさまの誕生を祝いますが、もちろん聖書を 読むとそうでないことがわかります。クリスマスを祝う伝統の中で、 救い主誕生の物語に色々な想像がつけ加えられていったのです。

   馬小屋の飾りの中に牛とロバがいるのも、あとからつけ加えられたものの 一つです。旧約聖書(イザヤ書1:3)に、牛やロバといった家畜でさえ 飼い主に忠実なのに、人間だけが、神さまの道から外れる、と嘆く言葉が あり、そのイメージから馬小屋に牛とロバが描かれるようになったのだ そうです。

   いずれにしても、「星に導かれる」というイメージはとても美しく魅力的 なので、クリスマスの民話や絵本は、このイメージをさかんに使います。 星の運行をたよりに旅をしたのは博士たちだけなのですが、羊飼いや 果ては動物たちまで、星に導かれて馬小屋にたどり着く話がたくさん つくられています。何を道しるべにすべきかわからない現実があるからこそ、 だれもがこの「星に導かれる」というファンタジーに心ひかれるのだ と思います。それは、見かたを変えれば、私たちには、道しるべになる 確かなものが必要だということなのです。

   では、私たちの人生の道しるべはなんでしょうか。一人ひとりの 心の奥にあるささやきこそが、私たちに与えられた道しるべなのでは ないでしょうか。人に対する優しさや、真っ直ぐな気持ちをみんな 持っているのに、不安や圧力の前で、その大切なものを手放して しまうのです。大事な「星」を手放さないで、見失わないで生きて いくことができるように、クリスマスにもう一度、温かい心を 取り戻しましょう。 


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