イエスさまが生まれた後、星に導かれて東の国から3人の博士
(現在の聖書では「占星術の学者」と訳されています)が、
イエスさまを拝みやって来たと聖書に書かれています。
贈り物が3つなので、いつの間にか、博士たちは3人ということになり、
伝説の中で名前までつけられていきました。クリスマスの子どもたちの
劇では、羊飼いと一緒にイエスさまの誕生を祝いますが、もちろん聖書を
読むとそうでないことがわかります。クリスマスを祝う伝統の中で、
救い主誕生の物語に色々な想像がつけ加えられていったのです。
馬小屋の飾りの中に牛とロバがいるのも、あとからつけ加えられたものの
一つです。旧約聖書(イザヤ書1:3)に、牛やロバといった家畜でさえ
飼い主に忠実なのに、人間だけが、神さまの道から外れる、と嘆く言葉が
あり、そのイメージから馬小屋に牛とロバが描かれるようになったのだ
そうです。
いずれにしても、「星に導かれる」というイメージはとても美しく魅力的
なので、クリスマスの民話や絵本は、このイメージをさかんに使います。
星の運行をたよりに旅をしたのは博士たちだけなのですが、羊飼いや
果ては動物たちまで、星に導かれて馬小屋にたどり着く話がたくさん
つくられています。何を道しるべにすべきかわからない現実があるからこそ、
だれもがこの「星に導かれる」というファンタジーに心ひかれるのだ
と思います。それは、見かたを変えれば、私たちには、道しるべになる
確かなものが必要だということなのです。
では、私たちの人生の道しるべはなんでしょうか。一人ひとりの
心の奥にあるささやきこそが、私たちに与えられた道しるべなのでは
ないでしょうか。人に対する優しさや、真っ直ぐな気持ちをみんな
持っているのに、不安や圧力の前で、その大切なものを手放して
しまうのです。大事な「星」を手放さないで、見失わないで生きて
いくことができるように、クリスマスにもう一度、温かい心を
取り戻しましょう。
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