学校法人 聖愛幼稚園
〒400-0071
山梨県甲府市羽黒町618(地図
TEL 055-253-7788
mail@seiai.net



書き下ろし連載14
からし種のたとえ
マタイ福音書13章31〜32節

細井保路
                

   「天の国はからし種に似ている。どんな種よりも小さいのに、成長すると空の鳥が来て枝に巣を作るほどの木になる」というのが、今回の聖書のことばです。

   カラシダネという植物は、私たちには馴染みがありませんので、イメージが湧きにくいのですが、先日、ある施設の玄関口に、このカラシダネの木が植えられていて、初めて実物に出会いました。人の背の二倍はあるかと思われる大きな灌木で、やさしいまるい葉が茂っていました。この木がケシ粒ほどの種から生長したのだと思うと、感慨深いものがありました。でも、考えてみれば、植物はどれも、本当に小さな種からグングン生長していくものです。当たり前なのでふだん驚きもしないのですが、あらためて言われてみると、命の不思議ということを考えさせられます。

   からし種のたとえというのは、究極のプラス思考だと言えるかもしれません。一人の人間の心の中に播かれたよい種は、生長を妨げるような心配なことがどんなにたくさんあっても、必ず大きく育つと信じなさい、と言われているのです。この社会のどこかによい種が播かれたのなら、どんなに悲しい事件があふれているように思えても、必ずみんなに幸せが届く、と言われているのです。

   人間は、他の人の演奏する音楽に感動したり、昔の人の物語のある場面に共感したり、もちろん、身近な人と一緒に楽しいことを共有したりと、実は、ちっぽけな自分の世界だけに閉じこもっているのではなく、時空を超えてたくさんのすばらしいものにつながることができるのです。それらも含めて私の人生だということができるのです。私というちっぽけな存在は、同時に、鳥を宿らせるほどの大きな木でもあるのです。人生がハッピーエンドであることを信じるなら、今、この瞬間の私も、幸せの種を宿しているのです。

   自分がどんなに小さくみすぼらしく感じる時でも、実は私は、神さまの無限の愛を宿している存在なのだということを忘れないようにしたいものです。


戻る



Copyright © 2008, SEIAI Yochien.
本ページと付随するページの内容の一部または全部について聖愛幼稚園の許諾を得ずに、
いかなる方法においても無断で複写、複製する事は禁じられています。
mail@seiai.net