学校法人 聖愛幼稚園
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書き下ろし連載13
一番大事なのは「人」
マタイ福音書12章9〜14節

細井保路
                

   イエスさまの時代には、週に一度、安息日には働いてはならないという 宗教上の掟がありました。しかし、イエスさまは、そのルールをたびたび 破るのでした。この聖書の箇所では、わざわざ安息日に手の不自由な人を 癒されるのです。しまいには、当時の指導者たちは、イエスさまを 殺そうと考え始めました。反感を買ってまで、休日のルールを破った イエスさまの行動には、とても重大な動機がありました。それは、 ルールや作法よりも、人を大事にする、ということでした。

   そもそも、ルールや作法は、人がお互いに不快な思いをしなくてもいいように 作られたもののはずです。つまり、相手を大事にするからこそ生まれてきたの です。でも、そのルールをまだ知らない人を、ルール通りに行動できなかった からといって責めることはできるでしょうか。あるいは、作法通り動けない 障害のある人を、無作法だといって仲間外れにすることが許されるでしょうか。

   私たちは、知らず知らずのうちに、ルールによってお互いを守るのではなく、 ルールを守らない人を責めて、仲間外れにするために、人の行動を監視するように なってしまうのです。社会の根底に、一人ひとりを大切にするやさしさが育って いない限り、どんなに立派なルールができても、それは人を互いに縛る道具に しかならないのです。子どもたちに、ルールや作法を教えるのと同じ熱意で、 「人を大事にする」精神を教えなければいけないのです。

   イエスさまが安息日の掟を破るのを非難する人たちに向かって、イエスさまは、 「自分の飼っている羊が穴に落ちても、休みの日だったら助けないという人は いるか?」と挑みかかります。別の所では、「わが子が井戸に落ちても助けな いか?」ともおっしゃっています。ルールや作法を無視していいのではなく、 それを、人のミスを責めるための道具にしないことこそが大事なのです。 まず、人を大事にするという精神を、親から子へ伝えていきましょう。


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