「天にましますわれらの父よ」という言葉で始まる「主の祈り」を
ご存知の方も多いと思います。この祈りは、イエスさまが
直接に教えてくださった祈りなので、「主の祈り」と名付けられて、
教会で大切にされています。
前半は、神さまの「御心」が実現しますように。
後半は、必要な力をください、ゆるしてください、守ってください、
という願いです。
神さまのお望みが何であるのか、具体的にはよくわかりません。
細かい指示を出してくださるわけでもありません。
しかし、聖書をよく読むならば、神さまのお望みは、
社会の隅々にまで、どんな小さな人にも、神さまの恵みが
行きわたることであるのは明らかです。
その願いをいつも胸に秘めながら、現実には、出会う人々、
特に私たちに与えられている家族を大切にすることから
始めればよいのです。そして、私たちは弱いものですから、
力をください、ゆるしてください、守ってくださいと
祈ればよいのです。
よく、キリスト教の書物には、祈りとは、願いごとばかり
することではなく、神さまと対話することだ、と書かれていますが、
私は、願いごとも立派な祈りだと思います。自分の力ではどうにも
ならないことを認めるところから出発するのですから、「願いごと」
こそ、神さまへの大きな信頼のあらわれです。
大きな信頼をもって神さまに向かうことこそが、「主の祈り」の
一番のテーマなのです。だから、「天のおとうさん」という呼びかけで、
この祈りが、始まるのです。
日本語の限界で、皆で祈る時に、「お父さん」というのはちょっと
気恥ずかしですから、他人行儀な「父よ」という訳語を当てていますが、
イエスさまは、小さな子どもがお父さんやお母さんに信頼して、
甘えて呼びかけるように、神さまに呼びかけなさいと教えられたのです。
戻る