学校法人 聖愛幼稚園
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書き下ろし連載7
ゆるされるよろこび
ルカ福音書5章17〜26節

細井保路
                

   あるときイエスさまが、家の中で話していると、病気が治るという噂もあって、 たくさんの人が集まって来ました。4人の男が寝たきりの仲間を担架で運んで 来ますが、とても家に入れません。そこで、屋根を壊して中にいるイエスさまの 目の前へ吊り下ろすという暴挙に出ます。イエスさまは、彼らの熱意を 認めてあげるだけでなく、その病人に、「あなたはゆるされている」と 声をかけます。 そばで聞いていた人たちは、「神でもないのに『ゆるす』とは何ごとか」と 文句を言います。すると、イエスさまは、「この人に、『ゆるされているよ』と 言うのと、『さっさと起きて歩け』と言うのと、どちらがやさしいか?」と 謎をかけます。 自分自身が弱り果てて、もう立ちあがることができないという状況を 想像してみてください。その時に、「ゆるされている」つまり、 「そのままでいいよ」と言われるのと、「みんなが、ちゃんと歩いているのだから、 おまえもしっかりしろ」と叱られるのと、どちらが慰めになるでしょうか。

   人は、寛大なゆるしに出会うことで、本来の自分を取り戻し、 力を発揮することができるのです。カウンセリングなどでも、 よく「ありのままを受け入れる」と言います。しかし、何でもかんでも 許されるということでは困ります。やってはいけないことでも 許されるわけではありません。肝心なことは、弱っている時には、 大きな温かさが、まず必要だということです。 当り前のことなのに、私たちはこの原則をすぐに忘れてしまいます。 泣きたい気持ちでいっぱいの子どもに向かって、「泣くな」と叱りつけたり、 自分の失敗でしょげている子どもに、追い討ちをかけるように 「どうしてこんなことしたの」と責めてしまったり。

   「そのままでいいよ」とおっしゃったイエスさまは、続けて病人に 「起きなさい」と声をかけます。受け入れてくれる大きなものに 出会うことで、人の力は回復するということを思い出させてくれる エピソードです。


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