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赤鬼からの手紙(2007年9月号)



『キャベツくん』

長 新太  / 文・絵

文研出版  / 発行

225×285 mm

1,300円(税別)

                

   「ブキャ!」 ブタヤマさんがびっくりすると、こんなふうにさけんでいます。 ブタヤマさんは、いったいなにをそんなにびっくりしたんでしょう・・・・
   おなかがペコペコのブタヤマさんがであったのがキャベツくんです。 どこまでもはてしなく続くような道のまん中でふたりはであいます。 空もひろくひろがっていて、それだけですがすがしい気分になってきます。 空の色も道の色も、だれも思いつかないような色づかいなのにふしぎとへんじゃないのです。ページをめくるたびにずいぶん遠くまで来てしまったような、はるかな気もちがします。
   キャベツくんが見せてくれる、いろんなキャベツの動物たちがブタヤマさんの目のまえにつぎからつぎとあらわれて、ブタヤマさんはそのたびに「ブキャ!」「ブキャ!」とびっくりしてしまいます。 そんな動物たちを見ていると、何だかキャベツのにおいがしてきそうです。 はながムズムズ、おなかがギュルルとなりだして、ブタヤマさんが、もっともっとおなかがペコペコになっているのがよくわかります。
   おなかがすいている時に、フラフラとパン屋さんに行ったりすると、山のようにパンを買ってしまうことがよくあります。そんな時に空をぼんやりながめると、雲がいろんなものに見えてきたりしますよね。 おなかがすいている時は、なにかいつもとちがうことがおきてしまうものなのです。もしも、ブタヤマさんが、おなかがペコペコじゃなかったら、キャベツくんにであっても、「こんにちは」とあいさつをして、すたこら行ってしまったかもしれませんね。
   長さんの絵本を読んでいると、だんだんあたまの中がからっぽになって、気分が楽になります。そして、いつもなら気づかないことを気づかせてくれます。さいごまでよんでも、おとなにはまったくわからない世界が、こどもたちにはすぐにつたわってしまいます。そこが長さんの絵本のすごいところです。 たくさんの絵本作家の中でもNo1といっていいほど、大好きな作家です。 長新太さんは2005年6月25日に77才で亡くなってしまわれました。もう新しい長新太ワールドに出会えないかと思うと哀しくてなりません。
                 

(赤鬼こと山ア祐美子)


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