学校法人 聖愛幼稚園
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赤鬼からの手紙(2007年7月号)



『とべ バッタ』

岡島征三  / 絵・作

偕成社   / 発行

300×210 mm

1,470円(税別)

                

  何という迫力!! この絵本に出会った時、中も見ずにその題名と表紙を見ただけで、すぐに手に入れてしまったことを思い出します。 そして、そのまましばらくその表紙の絵をながめ続けていました。それだけ印象の深い絵本でした。
   バッタがとぶ?バッタははねるんじゃないの・・・?不思議な気分のまま本を開きました。 むぞうさに広がる草むらが目にとびこんできて、これからこの草むらで何がおこるんだろうと わくわくさせてくれます。
   表紙のバッタに比べてずいぶん小さなバッタが主人公に描かれています。 カエルやカマキリやクモや・・・次から次にバッタをえものにねらうものたちに出くわします。 バッタは、毎日、そんな恐い思いをしながら生きていたのです。 でも、バッタはけついします。もう、びくびくするのはやめだ!! どんなことがあろうと、 もう、びくびくなんて 絶対しないぞ!! 「けつい」っていうものは、とても大変なことです。勇気のいることです。一生のうちで、 そう何度もあることではありません。 ここを読むと、いつも涙が出そうになります。 自分でもわかっていたけれど、やっぱり、すぐに見つかってしまった・・・。 あっ・・・ヘビに食べられてしまうっ・・・カマキリもむかってきます。もう、どきどきして、 次のページがをめくることができません。ところが・・・何と! バッタはとんだ!! ヘビもカマキリもやっつけて、クモのすもけちらして、とりに体あたりして。やがて、自分に はねがあることに気づいたバッタはむちゅうではねをばたつかせました。 もう、恐いものなんかない。気持ちがどんどんふくらんできます。トンボやチョウに笑われようと、 自分のとび方でたかくたかくとぶことができるんだから。自分の行きたいところへ 行くことができるんだから。 最後には、バッタは画面いっぱいになっています。まるで、まっ赤な荒野に立つガンマンのようです。 すごくかっこいいバッタが遠くを見つめています。そして、はるかかなた、どこまでもどこまでも とび続けて、絵本からもぬけ出して とんでいきます。 次のおまけのページのバッタを見忘れなで下さい。バッタの新しい 世界がちゃんとはじまっているんですから・・・。
   この本がそばにあると、目の前がパッと明るくなって晴れ晴れとしてきて、そして、 なぜかほっとした安心した気持ちになります。                  

(赤鬼こと山ア祐美子)


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