イエスさまが、ベツレヘムの馬小屋でお生まれになったことは
よく知られています。戸籍登録のため皆が一斉に自分の町に帰ったので、
宿屋が人でごった返すことになってしまったからだと書かれています。
やっと静かな場所が確保できたとはいえ、旅先でのお産は、
なんとなく心細いものだっただろうと思います。
しかしそこへ、見ず知らずの羊飼いたちがお祝いを言いに
やって来てくれました。
イエスさまがお生まれになった夜、野宿していた羊飼いたちに、
天使が現われ、「今日、あなたがたのために救い主がお生まれになった」と
告げます。羊飼いたちはさっそく、生まれたばかりの赤ちゃんを
探しに行きます。そして探し当てると、「天使が話してくれたことを
人々に知らせ、・・・神を賛美しながら帰って行った」のです。
そしてきっと、そこにいたマリアさんやヨセフさんに、「おめでとう」と
口々に言ったことだろうと思います。
羊飼いたちのお祝いの言葉は、マリアさんにとっては、大きななぐさめに
なったに違いありません。
羊飼いたちは、別にマリアさんを慰めてあげようとしたわけではなく、
いわば野次馬根性でイエスさまを訪ね、言われたとおりだったので、
大喜びしただけなのです。でも、まったく自覚のないままに、祝福の
言葉を運ぶ重要な役割を果たしていたのです。
赤ちゃんの美しい目を見るとき、あるいは、無心で遊ぶ小さな子どもを
見るときに、わたしたちは、大きな喜びやなぐさめや安らぎを感じます。
しかし、子どもは「この疲れた人を癒してやろう」などとは、
これっぽっちも思っていないはずです。自分でも知らずに、人を喜びで
満たしているのです。
わたしたちは、誰一人例外なく、人を幸せにする力を与えられている
のです。だから、できることならば、ちゃんと意識して、人を幸せに
する言葉を運ぶ役割を果たしましょう。
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