あなたたちならびにあなたたちと共にいるすべての生き物と、代々とこしえにわたしが立てる契約のしるしはこれである。すなわち、わたしは雲の中に虹を置く。これはわたしと大地の間に立てた契約のしるしとなる。
(創世記九章一二〜一三節)
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今年は夏の訪れが早いようです。
五月の連休が明けると天候は夏型に変わり、急に日差しが強くなってきました。
雨にしても時たま夕立のように激しく降る日があります。先日もそうでした。
この日は朝から夏を思わせるほど日差しが強く、新緑を揺るがせる強い風が吹いていました。
それが夕方になると天候が急変して激しい雷雨が襲ってきました。それも一時のこと。
雷雨が通り過ぎると西の空に目にも鮮やかな虹が、しかも二重に掛かっていました。
あまりの美しさに私は時のたつのを忘れてしばし見入っていました。
自然現象の中で虹ほど美しいものはありません。何故なら、虹は神様から人間への
特別な贈り物であるからです。希望の約束といってもよいでしょう。
旧約聖書の一番はじめに「創世記」があります。有名な「アダムとエバ」の話も
ここに書かれています。「創世記」には他に「ノアの箱舟」や「バベルの塔」など
よく知られた物語が書かれています。虹についての話は「ノアの箱舟」に出てきます。
話の大筋はこうです。
太古、地上に人間が増えるに従って悪がはびこってきました。
「この地は神の前に堕落し、不法に満ちていた。」(創世記六章十一節)
神は地上に人間を造ったことを後悔された。そして、とうとう人間だけでなく、
家畜や地上を這うもの、空を飛ぶ鳥さえも滅ぼすことを決意しました。
しかし、ここにノアという神に従う無垢な男がいました。
ノアはいつも神と共に歩む正しい人でした。神は、ノアと家族、それに清い動物
七つがいと清くない動物一つがいを除いて他のすべての生き物を滅ぼすことにしたのです。
ノアは神に命じられたままに、大きな箱舟を造って家族や選ばれた動物を中に入れました。
それを見届けると神は四十日四十夜激しい雨を降らせ、大洪水を起こして地上に
残っていた生き物をすべて滅ぼしてしまいました。ノアたちを乗せた箱舟は
アララト山の上に漂着し、彼らはいのちを守られたのです。
その後、神は二度と洪水によって生き物を滅ぼすことはしないと決意し、
ノアたちに新しい契約を立てたのです。その印が虹でした。
「契約」というのは堅い響きのする言葉です。神に従い、神と共に歩む
ノアたちへの祝福の印が空に掛かる美しい虹なのです。ノアたちは、
雨の降った後に掛かる虹を見上げながら、神の祝福を喜び、希望を抱いて生きたのです。
私は虹を見るたびに、ノアの箱舟の話を思い出します。七色の虹を仰ぎつつ、
この私も神様の祝福にあずかり、希望といのちを与えられていることを思い、感謝しています。
これから先、夏型の天候が続くと、甲府にも夕立が降り、その後で天空に掛かる虹を目にする機会が多くなるでしょう。聖愛幼稚園から見える虹は近くの湯村山に掛かります。虹が掛かったら先生たちは園児を外に連れ出してやって下さい。色鮮やかな虹を仰いで、ともども神様の祝福の下に置かれ、希望を与えられていることに感謝しましょう。
保護者の方も、そうした機会に恵まれたらお子様と共に喜びの声をあげて下さい。
一緒に虹の色を数えてみるのもよいでしょう。虹の色は、内側から外側へ、
紫、藍、青、緑、黄、橙(だいだい)、赤の七色です。
英語ではパープル、ブルー、グリーン、イエロー、オレンジ、レッドの六色。
藍はブルーに含まれているとのこと。虹を五色、三色、二色とみなす言語もあるそうです。
私は、虹を七色で表わす日本語の中に自然に対する日本人の優れた感性を思います。
私たちは、誰もが神様の愛と恵、励ましと支えのうちに生かされています。
時として感謝の気持ちを忘れがちですが、虹を見たらそのことを思い出し、
こころの中で「ありがとう」を言いましょう。空に掛かる虹だけでなく、
こころの中に掛けられているもう一つの虹に気づくことができたら、
もっと素晴らしい。そうした人生を歩みたいものです。
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新堀 邦司(にいほり・くにじ)先生