学校法人 聖愛幼稚園
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書き下ろし連載四十九
神様はいのちの泉

新堀邦司
                
かわ渇いている者には、命の水の泉からあたい価なしに飲ませよう。
(ヨハネの黙示録二一章六節)

   甲州は水に恵まれています。 南アルプスの水をはじめ、県内いたるところに良質の水が湧きあふれ、 人々に豊かな暮らしをもたらせています。

   私は旅が好きです。中でも、小淵沢から小海線で清里に向かう旅が好きです。 八ヶ岳山麓の雄大な景観はいつ見てもすばらしく心を打たれます。 清里の手前に「甲斐大泉」「甲斐小泉」の駅があります。この辺りも水が豊かな土地です。 八ヶ岳に積った雪がとけて地下にしみこみ、やがて伏流水となり、山麓のあちこちで 泉となって湧き出しています(中でも日本名水百選の一つ『三分一湧水』は特に有名です)。 「甲斐大泉」「甲斐小泉」の駅名は、この山麓がいかに水に恵まれているかを 教えてくれています。

   私が勤めている学園も水に恵まれています。 学園の中庭には神の恵みの泉が音を立ててこんこんと湧き出しています。 その泉には、学園の創立者の言葉が刻まれています。

「人間は泉を創ることはできない。泉は創造主からの贈り物である。」

聖書は天地万物を創造されたのは神であると教えています。人間を含めて、 すべての生き物は神様によって造られ、いのちを与えられています。そして水は すべてのいのちの源であり、自然界を豊かに潤しています。小さな花の一つでさえ、 水の恵みがなかったら咲くことができません。ましてや水の恩恵を一番受けているのは 人間ではないでしょうか。恵の水の象徴が「泉」であるといえます。

   聖書のゆかりの地であるパレスチナは砂漠の国ですから日本のように水に恵まれていません。それだけにパレスチナに住む人々は水の大切さをよく知っています。砂漠にはところどころに泉の湧き出るオアシスがあり、多くのいのちを育んでいます。人びとは泉から水を汲む時に神様への感謝を忘れません。

   ところで、聖書はいのちにとってもう一つ大事な泉があることを教えてくれています。 それは、人間の肉体ではなく、こころ、精神、もっと言えば魂を潤す泉です。 どのようにおいしく、良質な水であっても、いつまでも生き物にいのちを与えることはできません。一時、いのちに潤いを与えてもやがては渇いてしまいます。 神様はこの水に加えて魂を豊かにするために永遠に渇くことのない水を与えてくれています。しかもこの水を手にするには全くお金を必要としません。すべての人に無料で、等しく与えられるのです。「渇いている者には命の水の泉から価なしに飲ませましょう」と神様はおっしゃっています。この泉は愛そのものです。イエス・キリストを通して、神様は一人一人を恵の泉へと導き、豊かな水を飲んで魂を潤し、愛の人として生きることを望んでおられます。

   神様が与えてくださるいのちの水を感謝しつつ飲もうではありませんか。


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新堀 邦司(にいほり・くにじ)先生

1941年2月 埼玉県に生まれる。
1963年 中央大学法学部法律学科卒業
2002年 本園の「せいあいだより」に寄稿開始。
恵泉女学園事務局長。俳句結社「日矢」同人。
著書:『青年の使徒』,『宣教師に育まれた料理人』,『海のレクイエム』
『愛 わがプレリュード』,『野尻湖物語』,『神を讃う』ほか




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