学校法人 聖愛幼稚園
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書き下ろし連載四十
守って下さる神様

新堀邦司
                
まことに、あなたは弱い者の砦
苦難に遭う貧しい者の砦
豪雨を逃れる避け所
暑さを避ける陰となられる

(旧約聖書イザヤ書二五章四節)

  梅雨明けとともに夏がやってきます。 毎年のことではありますが、夏の猛暑は身体にこたえます。 健康に不調をきたす人も多いでしょう。 とくに、甲府盆地の暑さは横綱級の凄さです。三十度を超える 暑さが連日続くと若い人手さえげんなりしてしまいます。 まるで苦しい修行を強いられているようにさえ感じます。 けれども、この暑さがおいしい果物を育てるのです。 甲州の桃、ぶどうは夏の猛暑がもたらす恵なのです。自然とは 不思議なものですね。

  ところで世界には甲府盆地より暑さのきびしいところ がたくさんあります。その一つが聖書の世界―パレスチナです。 パレスチナは雨期と乾期がはっきりしています。冬は雨期で しのぎやすいのですが、夏は猛暑の続く乾期となります。雨は 一滴も降らず灼熱の太陽は全てのものを焼き尽くしてしまうのです。 身体中の水分が蒸発してしまうかのようで、のどはカラカラに なってしまいます。 私はペットボトルをしっかりと握って、水分補給に気を使いながら、 真夏のパレスチナを旅した経験があります。パレスチナの太陽は 人間の生命をおびやかす恐ろしいもののように思えました。太陽に おびえる小さく、弱い人間。日本では考えられない光景ですが、 これが砂漠の国パレスチナの現実です。 また、雨期に降る雨も日本のようにしとしと型のやさしい降り方では ないようです。降り始めると時に集中豪雨となり、砂漠の中に突然たけり 狂う川が出現し、洪水となって人間を襲うのです。パレスチナの自然は 苛烈であるが故にそこに生きる人間は、神の助けなくしては生きていけません。 猛威をふるう自然は人間にとって苦難そのものなのです。

   まことに、あなたは弱い者の砦
  苦難に遭う貧しい者の砦
   暑さを避ける陰となられる。

イザヤ書二五章四章四節の言葉は、神に救いを求める人間の悲痛な 叫びを聴き、助けの手を差し伸べてくれた神への感謝なのです。

   わたしたちも人生の旅路を辿る中で猛暑、洪水の類いの苦難、 困難に度々遭遇します。 わたしたちが苦難や困難に挫けそうになった時、神様は叫び声を 聞いて救いの手を差しのべて下さいます。目には見えませんが、 神様はどのような時でもわたしたちと共に歩まれ、数々の試練や 苦難から守って下さいます。困難を超える力を与えて下さいます。

彼らは、もはや飢えることも渇くこともなく、太陽も、どのような暑さも、彼らを襲うことはない。(新約聖書ヨハネによる黙示録七章十六節)

  この聖書の言葉はわたしたちを勇気づけてくれます。 わたしたちはそれぞれに神様から守られているのです。そのことを心にとめ、 守って下さる神様を信頼して今日を、明日を生きて行こうではありませんか。

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新堀 邦司(にいほり・くにじ)先生

1941年2月 埼玉県に生まれる。
1963年 中央大学法学部法律学科卒業
2002年 本園の「せいあいだより」に寄稿開始。
東京YMCA学院院長。俳句結社「日矢」同人。
著書:『青年の使途』,『宣教師に育まれた料理人』,『海のレクイエム』
『愛 わがプレリュード』,『野尻湖物語』,『神を讃う』ほか




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